JOHN DEE COFFEE ROASTERS

2006年ハワイ島、コナコーヒーの仕入れのためにある農園を訪れたときの話です。商談が終わるとオーナーは珍しいものをご馳走しようと1杯のコーヒーを淹れてくれました。ハンドドリップで丁寧に淹れながら「これは6年物のヴィンテージビーンズだ、市場に出回らない特別なコーヒーだよ」と言いました。ニュークロップ(収穫したての生豆)を仕入れることにこだわっていた私たちに、ワインと同じで条件を整えて寝かせればコーヒー豆も熟成され旨味が増すと言うのです。
初めて飲んだ長期熟成生豆の味わいは、まろやかなコクと甘味が際立ち、芳しいアロマを纏ったものでした。コーヒーの奥深さを再認識した私たちは、その年に仕入れた1500kgのコナコーヒーのうち、麻袋で10個(453kg)をオーナーの指導のもと長期熟成させることにしました。そして10年の時を経て最高の状態に仕上がったハワイコナをご用意することができました。

熟成生豆ができるまで

熟成環境

長野県飯山市にある熟成倉庫は海抜315m、年間平均気温11.1度で、海抜500m以上の高地にあるコナコーヒー農園地帯と同様に日中の温かい風と山から吹き下ろす涼しい夜風による自然の寒暖の差を生かし、カップテストを繰り返しながらゆっくりと熟成をすすめました。

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生豆の状態で長期熟成させることでコーヒー豆の主成分であるタンニンからエグミや苦みが抜け、甘みが際立ちまろやかになります。 これは渋柿を干し柿にすると甘みがでるのと同じです。 さらに硬い生豆の芯から時間をかけて油脂が抜けることで焙煎の熱がしっかり芯まで入り焙煎後の酸化が抑えられます。

絶滅危機のハワイコナ 
長期熟成により奇跡的に残った4グレード

2011年にCoffee Berry Borer(通称CBB)という害虫がハワイ島に上陸して以来、今も多くのコナコーヒー農園に甚大な被害が続いています。CBBは1ミリほどの大きさでコーヒーチェリーの中に入り込み実を食いつぶし増殖します。そして次々と他のコーヒーチェリーに移り住みます。また羽があるため被害はコナ地区だけでなくハワイ州全域に拡大しています。マウイ島ではビニールハウスでのコーヒー栽培へシフトしようと準備を進めています。

他の国の産地ではCBBを農薬で駆除していますが、環境保全の規制が厳しいハワイ州は農薬が使えません。農園も独自の手法でCBBと戦いながら栽培を続けていますが収穫量は激減、欠陥豆の比率も増えコナコーヒーの品質基準にも影響が出ているため流通量は少なくマーケット価格は高騰しています。2006年より長期熟成させていた当店のコナコーヒーは、このような状況下で上位4グレードが揃っている大変希少価値の高い生豆で、熟成生豆として販売しているのは世界的にも当店だけです。